「非認知能力を育む 幼児期の子育て ~生きる力をはぐくむ親のまなざし~」

保育、子育て

第1章:非認知能力とは?

1. 認知能力と非認知能力の違い

子どもが成長していく中で、「知識をどれだけ身につけたか」「計算が早いか」など、目に見えるスキルばかりが注目されがちです。しかし、実際に社会で活躍するために欠かせないのは、それだけではありません。近年、教育や発達心理学の分野で注目されているのが「非認知能力」です。

認知能力とは?

「認知能力」とは、テストの点数やIQ(知能指数)などで測定できる能力のことを指します。たとえば、次のような力が含まれます。

  • 言語能力(話す、読む、書く力)
  • 計算能力(数を数える、計算する力)
  • 記憶力(知識を覚える力)
  • 論理的思考力(筋道を立てて考える力)

これらは学校の勉強や試験で評価されることが多く、従来の教育では主にこの「認知能力」を伸ばすことが重視されてきました。

非認知能力とは?

一方、「非認知能力」は、テストの点数では測ることが難しいけれど、生きていくうえで重要な力を指します。たとえば、次のような力が含まれます。

  • 自己肯定感(自分には価値があると思える力)
  • やり抜く力(グリット)(困難にぶつかっても粘り強く努力できる力)
  • 共感力(相手の気持ちを理解し、思いやる力)
  • 自制心(感情をコントロールし、自分の行動を調整する力)
  • 創造性(新しいことを考えたり、工夫したりする力)
  • 好奇心(未知のことに興味を持ち、学ぼうとする力)

これらは、幼児期の経験や環境によって大きく育まれると言われています。たとえば、子どもが積み木をうまく積めなかったときに、「もう一回やってみよう!」と励まされる経験を重ねることで、粘り強さや挑戦する気持ちが育ちます。また、親が子どもの気持ちに共感しながら接することで、子ども自身の共感力も養われていきます。

なぜ非認知能力が重要なのか?

現代社会では、知識やスキルだけでなく、自分で考えて行動できる力や、周囲の人とうまく協力できる力が求められています。研究によると、非認知能力の高い子どもは、将来的に以下のような傾向を持つことがわかっています。

  • 学業成績が向上しやすい
  • 社会性が高まり、人間関係が円滑になる
  • 精神的な安定につながる
  • 挫折しても立ち直る力(レジリエンス)が強い
  • 仕事や人生に対して前向きな姿勢を持てる

また、スタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルが行った「マシュマロ実験」では、幼少期に自制心を持てた子どもは、将来的に学業や仕事で成功する確率が高いことが示されています。このことからも、幼児期に非認知能力を育むことの重要性がわかります。

認知能力と非認知能力はどちらも大切

認知能力と非認知能力は、どちらが優れているというものではなく、互いに補い合うものです。たとえば、数学の問題を解くには「計算力(認知能力)」が必要ですが、「難しくても諦めない力(非認知能力)」がなければ、最後まで取り組むことができません。

そのため、子育てでは知識やスキルを身につけさせるだけでなく、子どもの心や性格を育てることも大切です。これからこのブログで、日々の関わりの中で非認知能力を伸ばす方法を具体的に紹介していきます。

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